インフルエンサー

インフルエンサー…フォロワー数や「いいね」の数が重要性を持つ時代、人気度が可視化されるようになって以来、メディアは積極的に彼らを起用して視聴率を稼ぐようになった。人気度をさらに増やしたい彼らにとっても芸能人と肩を並べて出演するテレビという媒体は魅力的だ。素人を用いたリアリティー番組は構図としてはこれらと異なるが、テレビの影響力で無名の野心的な若者を惹き付け、観る側は次代のスターの出現する瞬間を見逃すまいと視聴率に貢献する。芸能人の側でも自らのチャンネルを立ち上げてユーザーの獲得に走るようになった。

従来の既得権益を崩し、誰でも有名になれるチャンスが与えられ、またその手段へのアクセスも特定の人物や団体に収益が集まる構造ではなくなった点でとても評価できる。

芸能人のブログが圧倒的に人気だった10年前には考えられない光景だ。当時は結局のところ既に知名度の高い人がその影響力を増す傾向にあったと思うし、それは実際にステルスマーケティングというスキャンダルを生んだ。

花さんが亡くなった事で批判も多くあるが、有名になることと誹謗中傷を受ける事は残念ながら比例するものだ。そこのフォローまでテレビ制作の側に求めるというのはやりすぎではないかと思ったりもする。しかしながら制作は素人と知った上で起用するのだから、やはり手取り足取りフォローする責があってしかるべきだと思う。そのあたりのインフラが整っていなかった為に今回の悲劇が起きてしまったのだが、決して同じような被害を繰り返してはいけない。

でも僕はそれ以上に、人気度が可視化され、人間の価値があたかもフォロワー数によって決まるような風潮を資本主義が作ってしまったこと、人間を消耗品のように扱い、次々と浪費している現状に懸念を抱いている。